兄弟大道芸人

　平日の、チビが幼稚園に行っている時間帯は、大抵アトラスの事務所にいますが、ときに、表でジャンジャカジャンジャカと、祭りや結婚式の行列がやってきます。さらに、もっとまれに、ヘビ使いや大道芸人などの『見世物』もやってきます。


　そういった場合、店番をしていようが、お客さんと話をしていようが、見に行ってしまうネパール人。窓から覗いてしまう、私。


　先日、うちのお父さんのバイクの後ろに乗っかって、チビ２と事務所に来た時のこと。間近からトントコトントコと、リズムのよい太鼓の音がする。見ると、子供が竹馬調のものに乗り、太鼓を鳴らしながらナニやら歌を歌い始めた。体が吸い寄せられるようにそちらに向かうと、

　スゲっ！あんな子供が、自分より背の高い竹馬に乗っているゾ！やるなぁ。


　見ている間にも、歌と太鼓は続き、エラソーなヒゲを顔に描いた小さい方の子供が、汚い敷物を取り出し、靴を脱ぎ、まだ朝も早く肌寒いというのにＴシャツをモゾモゾと脱ぎだした。ハテ彼はこれから何をするんだろう？興味津々。

　
　見守るまばらな観客の視線を受けて、小さい男の子がとった行動は、

腰振りダンス　なんだよーつまんないなー。もちょとハデになんかしてよー。ひとしきり腰をくねくねと動かし、ギャラリーを見回した彼は、足元においてあった輪っかを体に通すパフォーマンスを披露。うーん。すごいようなすごくないような。


　子供といってもつまんない芸だったので、あんまり観客が集まらない。スグ脇にとまっていたリキシャさえ、テキトーに見ている。困った彼は、今度はブリッジ作戦に出た。


ホッ！　うーん。またしてもすごいようなすごくないような。どっちかっていうと、あんまりすごくない。竹馬の兄ちゃんのほうはというと、高所にて歌い、太鼓を叩くのみ。うーん。これもすごいっちゃすごいが、その先の期待を大きく裏切られるなぁ。


　かくして、最後にお盆を持って回ったけれど、たいして収入にはならなかったようだ。今度はもっと腕を磨いて、楽しませてくれよ！