2007年7月28日土曜日

米子の畑を食べる 境野米子

 ずいぶん前、まだ私が菜食だったころ(しばらく菜食にすると、どうなるのかなーと思い)私の姉にもらった一冊、手描きのイラストの料理の本。題名にふさわしく、季節の野菜ごとにいろんなレシピが載っています。

何が気に入っているかって、このお手軽さ。悪く言えば大雑把?オシャレな感じの料理本と違って、サッと短時間で出来そうなものが沢山あり、また身近な食材ばかり。よく料理の本って、『材料』のところでつまづいてしまう。特に「家庭でも簡単に出来ちゃう☆本格ナニナニ」風のものは、危険。だいたい簡単じゃないし(面倒くさがりなので本当にスグできないとイヤなの)例えば「アンチョビー」とか。。生クリームだってオリーブの実だってホワイトアスパラの缶詰だって
、うちに来たことがないよ…。うちだけかな?

 そんなわけで、この米子さんの本は、調味料もフツーに家庭にあるものがほとんどで、季節のものしか手に入りにくいカトマンズ生活には、ピッタリ。はー今晩何にしようかなーというときには、だいたいこの本を手に取っている。虎の巻。

 季節ごとのレシピの合間にエッセイがあって、その中に「ウワギを絞めて食べました」というのがある。それを読んだとき、ものすごーく共感できた。大雑把にまとめると、美味しい美味しいと肉や魚を食しているのに、殺すのはかわいそうだ、という風潮への批判。私は一時期ベジタリアンを体験してみようと、肉魚卵をやめてみたことがあるけれど、別に動物がかわいそうとかそんな気持ちで始めたことではなかったので、殺して食べるのはかわいそう、という考えにはちょっとびっくりした。食べる為に育て、一緒に生活していた時代はとっくの昔、スーパーで切り身になっているものしか見たことがないのだから、それも無理はないか。かく言う私もその一人だったのだけれど。

 ネパールでは、ごくごく日常に「絞めて食べます」が行われています。肉屋の店先にはヤギが繋がれていて、今日明日には捌かれる命なのだけれど、近所の子供が草をやったり手をだして遊んだり。絞める作業も、別にコッソリとなされるわけでなく、そこの肉屋の前でバッサリ殺られて、湯をかけられて毛をむしられ解体される。そんでそれをそこら近所の人達が買いに来て、食卓に上る。これじゃ繋がれているヤギを見ても「かわいそう」とかいうより「うーんアイツは美味しそう、1キロ買っちゃうか」って思っちゃうかもしれない。

 動物愛護の方がこの文章を見ていたら、さぞお怒りになるかもわからないね。でも、お野菜だってお肉だって、同じように手をかけ暇をかけ、美味しくなるんだぞ~って育てられて、感謝され、美味しく食べてもらったら、それはそれで素晴らしいことではないかなと思う。

 姉ちゃんにもらったこの本も、もう手垢でいっぱい、水の手で触るもんだから、ところどころふやけてしまったページもあるけど、何度読んでも共感できるエッセイ、シンプルなレシピ、これからもまだまだ新米かーさん(私)の力になってくれそうです。

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