2008年7月7日月曜日

チュスケとチュースケ

 ここのところ、ネパール本ばかりの紹介が続いています…というのも、自分が本を読むヒマがほとんど、ない!

でも、ネパールやインドの子供の本って、日本の絵本とはまた違った面白さがあって、つい手にとってしまうのも事実。さらにつたない私のネパール語でも読めるっていうのがメリット。 さて今回は、ちょっと教訓じみた、イラストがとっても可愛らしいネパールの絵本の紹介です。



 お話は、ニワトリのトゥロダイ(大きい兄さん、アニキ、ってとこかな)と同じ家に住むネズミのチュスケ&チュースケのある日のご飯のこと。ニワトリが「とうもろこしをゲットして来たぜ!」と小脇にとうもろこしを挟んで来て、「今日は何ぞ美味いもん食うべナ!お前達も食うだろぅ?」すると…

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チュスケは(マフラーを巻いている)トゥロダイの耳に近づいて、片方の手で自分の口を覆って言いました。

 「トゥロダイ、チュースケはね、たった今お腹が痛いよーって言ってたよ。あいつ、食べないよ。ボクはいっぱい食べれるよね?」

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そしてもちろんチュースケ(タンクトップを着ている)も「お腹なんか痛くないよーだ」と反論。そんな二匹のやりとりを笑ってかわしたトゥロダイは、「とりあえず美味いもん作ろう」といって家の中へ入っていきます。

トゥロダイは、とうもろこしを床に置きながら言いました。

 「最初にこれをむしらなくちゃ。さ、誰がやってくれるかな?」

 チュスケは「ぼく、出来ないよ」といって、一方に踊っていきました。

 チュースケも「ぼくはむしるのすっごい面倒くさいよ。」と言って、引っ掛けてある紐でブラブラしだしました。 

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 結局トゥロダイがとうもろこしをむしって、干して、粉にしてくるハメに。っていうか、そんなとこからご飯作りを始めるストーリーそのものが、さすが、ネパール!!さぁいよいよ粉を持って帰ったトゥロダイ、それでローティというパンを作るつもりのようですよ。

トゥロダイが言いました。「さぁ、美味しいもの作ろう。粉、誰がこねてくれるのかな?」

 チュスケは体を伸ばして「ふわぁぁぁ」と欠伸をしました。

 チュースケは何も言わずに床にあった笛をとって、吹きはじめました。
 
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 またも自分で何もかもやってしまうトゥロダイ。そばでゴロゴロだらだらするチュスケとチュースケ。粉をこねて麺棒で伸ばして、さあいよいよ焼きます。

 トゥロダイはタウ(ローティを焼く鉄板)にギー油を入れてローティを焼き始めました。

 ギーの匂いが漂い始めると、ネズミたちは起き上がってトゥロダイの近くにやってきました。

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すっかり焼きあがって、待ちきれないチュスケとチュースケ。ローティをつまみ食いしようとしたり、お釜に上ってみたり。「まだ食べないの?」「ぼく、チュースケよりいっぱい食べれるよ!」「ううん!!ぼくチュスケよりいっぱい要る!!ぼくの方が大きいでしょ?」そんな二匹を尻目にトゥロダイは…

 トゥロダイは、羽をバサバサしながら言いました。「うん、食べることは食べる。けど、作った人が一番だろう!」

 トゥロダイはローティを一枚食べながら聞きました――

 「えぇ?!チュスケ、チュースケ!言ってみな、とうもろこし、誰がむしった、誰が干したんだ?」

 ネズミたちはへりくだって返事をしました「ぼくたちのトゥロダイです」

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食べさせてもらえないチュスケとチュースケ。トゥロダイは、ローティを食べながら更に聞きます。「誰が粉にしてきたんだ?」「誰が粉を捏ねたんだ?」ネズミたち、最後には顔を白黒させて「アンタだよ…」

 トゥロダイも怒り炸裂です。ほら来たっっ!!

トゥロダイはゲップをしながら言いました。「誰がローティを焼いたんだ?」

 ネズミたちは涙声でいいました。「トゥロダイがだよぅ」

 「仕事はぜーんぶワシがして、食べるのはお前達が先ってか?ないない、お前達に食べさせるローティも何も!」

 トゥロダイは麺棒を振り回して言いました。

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そうしてとうとうネズミたちは泣き出して…「これからはちゃんとお仕事しますから、ローティをください」などと言うのでありました(笑)

 トゥロダイはチュスケとチュースケがだんだんかわいそうになりました。チュスケとチュースケに一つずつローティをあげながら言いました。

 「明日っから本当に仕事をするね?」

 ネズミたちはトゥロダイの顔をシッカリ見て約束しました。

 「します、トゥロダイ!ぼくたちお仕事します!」

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 まさに働かざるもの食うべからず!ってことか(笑)。イラストの可愛さもさることながら、生意気言ってダラダラするネズミの言葉や態度も可笑しいです。ローティを作る工程も楽しめます。ままごと遊び真っ盛りのチビは、この絵本に感化されて、最近は粘土でローティを作っています。本物作ってよ本物。


 チビも私もかなり気に入っている一冊です。でも一日に3回も4回も読ませられるのはやめてほしいな。

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